「メルミー葉酸サプリの評価が知りたい」
という問い合わせが立て続けに届きました。レビューを書く予定はなかったのですが、簡易的にレビューを書いておきます。
一般のみなさんから見ると、次のような点が魅力に映るようです。
- 産婦人科医と管理栄養士がダブル監修
- 妊娠初期から授乳期まで飲める
- 妊娠初期からDHAを摂取できる
- 原産国開示など安全面にも力を入れている
- 「マカナ」と同じ株式会社ニューアクションが販売している
- 鉄は非ヘム鉄とヘム鉄を配合している
これらについて、ひとつずつ「サプリメントマイスター」の「プロ目線」で解説していきます。
視点1:これで産婦人科医と管理栄養士がダブル監修?
まず、世の中には産婦人科医はごまんといます。その中で、森智恵子医師が監修するメリットって何なのだろう?と思いました。「産婦人科医の権威」とかなら惹かれますが、「メディア出演が豊富」がウリみたいなんですよね。
メディアに出ている医師よりも、私は本業に注力している「産婦人科医の名医」のほうが魅力に感じます。
一方、管理栄養士は栄養学のプロなので、管理栄養士が設計したサプリは魅力的です。栄養学の知識を元に、ぐうの音も出ない成分構成になっているなら良いのですが、メルミー葉酸サプリそうは見えないんですよね・・・。
私が監修するなら、メルミー葉酸サプリのような成分構成の葉酸サプリは作りません。2人がかりでこの程度なのか・・・と感じました。その理由は次の視点「2」以降と関連してきます。
視点2.「授乳期まで飲める」は無理がある
「授乳期まで飲める」・・・これは言ったもん勝ちです。授乳中に「飲んではいけない原材料」を使っていなければ、世の中のありとあらゆる商品は「授乳期まで飲める」と言えます(笑)
判断に使うべき視点は「飲めるか」どうかではなくて、本当に「最適化されているのか」どうかです。
栄養素は妊娠中(初期、中期・後期)の期間ごとはもちろん、妊娠中と授乳中では必要な栄養素の量(もっと言えば葉酸の種類も)が大きく変わります。
妊娠中と授乳中は摂取すべき栄養素の量が異なりますので、商品を分けて作らなければ、最適化した成分を配合するのは絶対に無理です。
たとえば、メルミー葉酸サプリの「鉄15mg」配合。これは妊娠中期、後期向けの配合量を基準にしたもので、妊娠初期や授乳中には多すぎます。
多すぎるというのは、過剰摂取になるという意味ではありませんが、非ヘム鉄にはデメリットもありますので、その時期に必要な分(足りない分)だけ補うのが理想です。メルミーはヘム鉄も配合しているようですが、非ヘム鉄との配合比率は不明です。
鉄のデメリットについては、「エレビット」のレビューをお読みください。
他にも、ビタミンA。妊娠後期から授乳期にかけて推奨摂取量が大きく増えますが、メルミー葉酸サプリは、ビタミンAの基準を妊娠初期に合わせてしまっているため、原材料に「βカロテン」の名前はあるものの、ビタミンAとしての配合量は不明です。
授乳期のビタミンA不足に対応するなら「666μg」以上という大容量が必要です。他の栄養素はきちんと配合量を開示しているのに、ビタミンAの記載がないということは、「察してください」ということです。
妊娠後期~授乳期に必要なビタミンAについては、「妊娠中期~妊娠後期用(妊娠5ヶ月目以降)の葉酸サプリの選び方」や「授乳中にオススメの葉酸サプリの選び方」をご覧ください。
葉酸の種類も、
- 妊活中~妊娠初期:モノグルタミン酸型葉酸(合成葉酸)
- 妊娠中期・後期~授乳期:ポリグルタミン酸型葉酸(食事性葉酸)
このように時期ごとに分けて摂取するのが「ベスト」です。厚生労働省が、サプリでのモノグルタミン酸型葉酸の摂取を推奨しているのは、妊娠前~妊娠初期(3ヶ月目)までです。それ以降は、食事性葉酸に切り替えるのがベストなのです。
こちらも「妊娠中期~妊娠後期用(妊娠5ヶ月目以降)の葉酸サプリの選び方」で書きました。妊娠中期・後期は480μgの食事性葉酸を摂ることが推奨されていますが、この量を食事だけで満たすのは無理です。
なので、ポリグルタミン酸型葉酸(食事性葉酸)を使った葉酸サプリを選ぶべきなのですが、メルミ葉酸サプリは妊娠初期のモノグルタミン酸型葉酸に合わせてしまっています。
これはメルミー葉酸サプリが特別に劣っているわけではなくて、妊娠中期・後期向けとして、食事性葉酸に対応できているのは「プレミン16w」しかないのです。妊娠中期・後期向けとしては、プレミン16wを出されると他社はまったく歯が立ちません。
視点3:妊娠中からDHAが摂取できる・・・はアピール材料にならない
メルミー葉酸サプリには、DHAが含まれる「n-3系脂肪酸」として、たった「1mg」しか配合されていません。n-3系脂肪酸の単位って「mg(ミリグラム)」ではありません。「g(グラム)」です。つまり、0.001gしか配合されていません。
なぜ、こんな超微量なのかと言うと、原材料に「DHA含有精製魚油粉末」を使っているからです。魚油は「粉末」にしたらダメです。魚油のまま「液体」で配合しないと、まともな量は摂れません。
もし、粉末で対応するなら1日4粒では無理です。粒の量やサイズも増やさないと対応できません。つわりの時期には飲みにくい形にしないと、サプリではまともにDHAを摂取できません。
そもそも、妊娠中からDHAをサプリで摂る意味はありません。以前は、「妊娠後期から魚油を摂ると赤ちゃんにいいかも」というエビデンスレベルが「4」ありました。(「1」が最高。鉄は「1」、葉酸は「2」)
ですが、本日(2019/07/10)時点の最新のエビデンスデータを見ると、妊娠中のエビデンスレベル「4」からも魚油は外されています。記載自体がなくなっています。授乳中のDHAとしても「摂っておくといいかも」レベルであると、説明しました。(参考:「授乳中にオススメの葉酸サプリの選び方」)
もちろん、妊娠中は水銀に気をつけながら魚を食べて、魚油を摂ることは大切です。大切ですが、日本は島国で魚を日常的に摂取する民族です。
n-3系脂肪酸の30代女性の目安量は1日1.6g、妊婦は+0.2gで1.8gですが、n-3系脂肪酸の30代女性の平均摂取量は1.87g。普通の食事だけで目安量を超えていることをお伝えしておきます。
視点4:鉄は非ヘム鉄とヘム鉄を配合しているけど、ブレンド比率が不明
「非ヘム鉄とヘム鉄を配合する」という設計を葉酸サプリで最初に取り入れたのは、「プレミン」シリーズです。プレミンの二番煎じ感が強いですが、考え方自体は評価できます。
ですが、その配合バランスがどうなっているのかです。プレミンは非ヘム鉄とヘム鉄を5:5の割合で50%ずつ配合しています。ヘム鉄は原価が高いです。高いからこそ「ヘム鉄も使っています」ではなくて、どのくらいの比率なのかをアピールできるかがポイントです。
もし、前述のDHAのようにヘム鉄は微量しか配合されていなかったら、ヘム鉄配合を謳う意味がありません。たとえば、「ヘム鉄配合」を謳いながら、「鉄21mgのうち、0.02mgしかヘム鉄が入っていない」なんていう葉酸サプリもあります。
わかりやすくたとえるなら、2リットルの水のペットボトルにカルピスの原液を一滴だけ入れて「カルピスウォーター」として売るようなものです。そんな少量では単なる「水」ですよね。
視点5:原産国も公開するという情報開示姿勢はgood!
原産国の開示は、「安全面にも力を入れている」・・・ではなくて、「安心感」と「品質」の高さを測る材料となります。
どこの国で作っているか、きちんと開示しているのは評価できます。必ずしも中国産が悪いわけではないですが、中国産など安い原材料を使っているメーカーは、原産国を隠したがります。「最終加工国」だけをアピールしてごまかします。
その点、メルミー葉酸サプリは原産国まで開示していますので、この情報開示姿勢は高く評価したいです。実際、原産国がわかると安心できますよね。
結論:「マカナ」はいいけど、メルミーはそれほどでもない
メルミー葉酸サプリの販売メーカー「株式会社ニューアクション」が発売している「マカナ」は、当サイトで高評価「A-」の判定が出ています。
マカナは、私が当初指摘していた「ビタミンD」も配合されて、より妊活にマッチした葉酸サプリとなりました。マカナに関してはこれからも妊活向け葉酸サプリとしておすすめし続けます。
だからと言って、メルミー葉酸サプリも高評価とは限りません。マカナの販売会社だからと言って、忖度して高評価にはしません。「妊娠初期~授乳期に対応」というおかしなコンセプトになっているため、微妙な葉酸サプリです。
当サイトの「A」評価にプレミンシリーズが君臨していますが、このプレミンシリーズとの差はめちゃくちゃ大きいです。もし、メルミー葉酸サプリを「A-」判定とするなら、プレミンシリーズは「A+」や「S」評価にしても良いくらいの差があります。
そのため、メルミー葉酸サプリの評価依頼が立て続けにきていましたが、書いたところでディスるだけになってしまうので、今までレビューを書いていませんでした。(マカナをおすすめしてきた手前、この記事をニューアクションさんに見られるとめっちゃ気まずいのです・・・)
いつかは正式にレビューしますが、ひとまずはこれでメルミー葉酸サプリのレビューとさせていただきます。メルミー葉酸サプリが気になっていた人は、参考にしてください。
トップページへ戻る:葉酸サプリクラブ – サプリメントアドバイザーが辛口で評価